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歯科コラム column

「2次カリエスって口腔内チェックの時聞こえたけどなんですか?」 「以前2次カリエスあるって言われたけど今大丈夫ですか?」

歯科コラム2022/09/20

名東区の歯医者、西山歯科・院長、岩瀬です。

 

みなさんも検診などに行かれて、口腔内を検査している時に「C2」「C1」「2次カリエス」 などと言われた経験ありませんか?
「C」=カリエスで1〜4は大きさの指標ですが、「2次カリエス」ってイメージつきますか? 今回は「2次カリエス」についてお話していこうと思います。

 

一度治療した歯、もう大丈夫と思ってしまう人が多いですが、実はそうではありません。実際多くの場合、治療済みの歯はまた新たに虫歯になってしまいます。なぜそのようなことが起こってしまうのか、また対策法について見ていきましょう。

1.「虫歯の再発=2次カリエス」って何だろう?

治療済みの部分が数年して新たに虫歯になってしまったものを「二次カリエス」といいます。特に、大人の虫歯の場合に多いのがこの「二次カリエス」であり、これによって将来的に歯を失うことも珍しくありません。
歯を治療する際に入れる人工物は当然虫歯になりません。ですが、人工物と歯との境目というのは、治療をしたことのない天然歯よりも構造的に弱く、虫歯にやられやすいので注意が必要なのです。

 

被せ物や詰め物で虫歯治療を行ったあとは、「治療したからもう虫歯の心配はない」という油断や安心感からその後のケアがおろそかになりがちですが、治療後の歯はさらに虫歯にかかりやすくなります。

2次カリエスとは、過去に歯科治療を行った部位に発生する二次的な虫歯のことです。2次カリエスを繰り返して歯を削る治療を重ねれば、当然ながら治療範囲も広くなり、歯へのダメージも大きくなっていきます。

 

特に、一度治療して神経を取ってしまった歯の場合、虫歯が進行しても痛みがないために早期発見が難しいこともあります。

 

また、一度治療した部位ですので、再度虫歯が発生すると神経に達しやすく、中には「気が付いたときには補綴物の下で虫歯が広がっていて、抜歯せざるをえなくなった」というケースも少なくありません。 歯の喪失を避けるには、日頃から2次カリエスの予防を徹底することが重要と言えます。

2.2次カリエスの原因

①材料の劣化

詰め物や被せ物のような人工物と歯との間には、隙間がないように見えても、どうしても継ぎ目というのは存在します。人工物そのものが劣化すると、その部分から隙間ができ、細菌が侵入してしまいます。

 

人工物にはいろいろと種類がありますが、材質によっては劣化しやすく、錆びてしまったり、材料自体の収縮、膨張などにより歯との間に隙間を作ってしまうことがあります。

②清掃不良

お口の衛生状態によっても虫歯の再発のしやすさは違ってきます。歯磨きがきちんとできていない場合には、当然虫歯はできやすくなります。また、人工物の材質によっては、歯垢をくっつけやすいものがあり、より注意が必要になります。 また、糖分を多く摂取するような食生活の場合には、虫歯ができやすくなりますので、二次カリエスにもなりやすくなります。

③治療の精度

歯科治療の精度、例えば型取りの精度、人工物の精度によっても二次カリエスのリスクの程度が変わってきます。

3.2次カリエスの対策法

①プラークコントロールをしっかりする

治療済みのところは、歯の部分との境目がある分だけ、虫歯のリスクが高くなります。そのため、歯磨きは人工物が入っている部分はより一層きれいにするくらいの気持ちが必要です。 また、食生活でも糖分を取りすぎない、間食を避けるなど、歯垢をためない生活をこころがけましょう。

②2次カリエスになりにくい材質(セラミック)を選ぶ

保険で使われるプラスチックや銀歯は、安価に治療できるのが魅力ではありますが、プラークを寄せ付けやすく、劣化もしやすいため、二次カリエスのリスクは高くなります。

 

一方、保険外にはなりますが、セラミックの場合、材質が劣化しにくく、歯との馴染みもよく、プラークを寄せ付けにくいため、二次カリエスはできにくくなるのでおすすめです。

a.セラミックと保険素材との大きな違いとは?

健康保険適用素材となるのは、レジン、金銀パラジウム合金(銀歯)、CAD/CAM冠です。部位や症状により使われる素材が異なります。犬歯までの前歯は目立つ部位のため、表側がレジン、裏側が金属素材のものが使われます。奥の大臼歯は強度が必要になりますので、強度に優れている銀歯になります。CAD/CAM冠はレジンとセラミックを混ぜたハイブリッドで、主に小臼歯に使われます。条件を満たせば奥の大臼歯に使うこともできますが、強度の問題で小臼歯以外にはあまり使われません。

 

いっぽう自費素材のセラミックにも様々な種類があります。全てセラミックでできているオールセラミッククラウン、強度に優れたジルコニアセラミック、オールジルコニア、次世代セラミックと言われているe-max、歴史が長いメタルボンドなどが良く知られています。

 

セラミックを使った補綴物と保険適用のものの大きな違いは、審美性と耐久性です。また虫歯の再発率も、保険素材とセラミック素材では異なることも特徴のひとつです。

b.なぜ保険適用素材は二次カリエスリスクが高いの?

ではなぜ、保険素材は虫歯が再発しやすいのでしょうか。

 

浅く小さい虫歯は虫歯部分を削り、白いレジンを充填して修復します。神経近くまで達した虫歯は型取りし、インレーと呼ばれる詰め物を詰めて修復させます。インレーは金属が使われます。

 

神経まで達した虫歯は根の治療である根管治療を経て、被せ物を被せて機能を取り戻します。前歯は先ほど触れたように表側が白いレジン、裏側が金属の差し歯になり、見た感じはキレイな前歯になりますが、奥歯は銀歯になります。

 

このような保険素材のデメリットは、充填物、補綴物と歯の接合の悪さにあります。レジンは接着性は悪くありませんが、水分や細菌を吸着しやすくなり、歯とレジンの間にすき間ができてしまいます。

 

インレーや差し歯、被せ物は歯と補綴物の間にわずかな段差が生じます。そこから唾液が入り込み、セメントを少しずつ溶かし始めます。その際に虫歯菌が一緒に入り込みやすく、内部で虫歯菌が活動を始め、じわじわと虫歯が広がります。その結果、補綴物が合わなくなり浮き上がったり取れたりしてしまいます。

 

補綴物が取れた歯の内部が虫歯で真っ黒になっているのが確認されると、当然虫歯治療が必要になり、前回よりももっと歯を削ることになります。

 

インレーだった歯は被せ物になり、被せ物だった歯はもっと小さくなってブリッジが必要になったり、最悪の場合、歯を残すことが難しくなることもあります。

 

素材的にも金属やレジンはザラつきがあり、細菌が付着しやすいため、二次カリエスリスクが高くなってしまいます。

 

このように、保険素材は接着性の悪さから二次カリエスリスクが高くなってしまうのです。

c.二次カリエスリスクが低いセラミック素材

いっぽうオールセラミッククラウンなどセラミックを使った素材は歯との接着性が優れており、すき間なくフィットすることから、二次カリエスリスクが低いのが大きなメリットです。

 

水分や細菌を吸収しにくいのもセラミックならではの特徴でしょう。

 

表面が滑らかセラミックは汚れや着色が付きにくいだけでなく、細菌の付着もほとんどありません。

d.接着方法が違うセラミックと保険素材

では同じセメントを使っているにもかかわらず、なぜ保険適用の素材とセラミックは接着力が違うのでしょうか。

 

これは「合着と接着の違い」に理由があると言われています。

 

保険素材のものは、素材の表面のデコボコにセメントが入り込んで固まることによる機械的接着であり、これを合着と言います。

 

セラミックはレジンセメントという接着剤によって歯と化学的に接合し、一体化します。

 

つまり合着は「固まる」、接着は「一体化する」ということであり、接着の仕方そのものが違うのです。そこから生じるミクロレベルのすき間から唾液や虫歯菌が入り込むため、保険素材は二次カリエスが起きやすくなるのです。

 

ただセラミックを使ったからと言って、100%トラブルが起こらないわけではありません。歯磨きをきちんと行わないと、歯と歯ぐきの境目に汚れが付いて歯肉炎や歯周病になってしまう可能性があります。つまり二次カリエスは防げても、歯周病には気を付けておかなければいけません。

 

大切な歯を二次カリエスから守るためにも、セラミックは大いに効果を発揮するのです。

③信頼できる歯科医院を選ぶ

良い材料を選んでも、治療の内容が悪ければ意味がありません。丁寧できちんと納得のいく治療をしてくれる、また質の良い人工物を入れてくれる歯科医院を選びましょう。当院では、保険治療であっても精度の高い治療を行なっておりますので、安心してお越しください。

④歯科医院での定期的ケアを怠らない

人工物が外れた状態、人工物の入っている部分に痛みが出てしまった状態というのは、かなり悪化している場合も多いものです。 歯科医院を受診するまで虫歯に気が付かない方は多いものですが、特に二次カリエスは自分では見つけにくい場所に発生しやすい傾向にあります。 また、どんなにブラッシングを丁寧に行っても磨き残しは発生してしまいます。 初期虫歯であれば、適切なプラークコントロールにより歯の修復を促すことが可能な場合もあります。定期的に歯科医院を受診して、虫歯の早期発見につなげるとともに、磨き残した歯のクリーニングを受けることが大切でしょう。

⑤フッ素を活用する

フッ素は歯質を強くして虫歯を作りにくくする効果があります。日頃からのフッ素洗口液、フッ素入りの歯磨き粉の使用や、歯科医院でのフッ素塗布は二次カリエス予防に効果的です。


特に症状がなくても定期検診を受けることで、異常をいち早く見つけ、軽いうちに対処ができます。また、歯医者で歯のクリーニングをすることで、普段の歯磨きでは取りきれない頑固な汚れを隅々まで落として、二次カリエスを予防することが可能になります。

 

当医院ではTC(トリートメントコーディネーター)が在籍しておりますので、治療でわからない事やそれぞれのメリット・デメリットを患者さんが納得するまでお話させて頂きます。

 

不安や心配がある方は一度ぜひご相談して下さい。