ママ友を誘って行きたくなるカフェのような歯医者。名東区の西山歯科

ママ友を誘って行きたくなるカフェのような歯医者、名古屋市名東区の西山歯科

歯科コラム column

「下唇が膨らんできたけど口内炎ですか?」「水ぶくれが何回も出来るけど悪いものですか?」

歯科コラム2022/10/18

名東区の歯医者、西山歯科・院長、岩瀬です。

生活していてこのように小さい頃に下唇に水ぶくれのようなものが出来たご経験はないですか?

 

下唇の裏側に水ぶくれができてよく噛んだ記憶がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

では、この正体とはなんだと思いますか?

 

唇の裏側に水膨れのようなものができて、噛んでしまっては潰れ、またできるということを繰り返している場合、それは「粘液のう胞」と呼ばれるものである可能性があります。 正体は何かというと、唾液線が詰まって唾液の袋ができてしまっている状態です。

1.粘液のう胞とは

粘液のう胞は主に子供などの若年者によく見られるもので、歳を取るにつれて発生頻度は減っていきます。 できる場所として最も多いのが下唇の裏側で、そのほかにも舌や頬の粘膜にもできることがあります。 年齢的には10歳未満から30歳代までにほぼ均等して多く、50歳以後の発症は少ない。 性差は基本的にはないと考えられるが、受診頻度でみるかぎり10歳代までの若年層では女子のほうが多いようです。

 

一度できてしまうと、食事の時に誤って噛んでしまいやすくなり、のう胞が破れてはまた再発し、ということを繰り返します。

2.粘液のう胞の原因

口の中には唾液が分泌される唾液腺が至るところにありますが、唇の裏などにも存在し、誤って噛むなど、何かの拍子でその部分が傷ついてしまうと、唾液腺の開口部分(出口)が損傷し、詰まってしまい、水ぶくれの状態を作ってしまいます。

 

口腔粘膜には無数の小唾液腺が存在します。

 

唾液腺の流出機能障害によって生ずる粘膜下の粘液貯留現象で本性が発症します。
口腔粘膜に多数存在する小唾液腺に関連して生ずるものを粘液瘤(mucocele)といいます。
特に口底部に出現する大きなものをガマ腫(ranula)とよんでいます。
日常よく経験し、また診断も容易な病変ですが、原因や成り立ちなどについて意外に不明な部分も多い。

 

本症は導管の損傷により粘液が結合織内に溢出し、貯留して成立するものと考えられ、粘液溢出嚢胞(mucousextravasationcyct)とよんでいる。
これに対し粘液の腺管内貯留としか考えられないものも現実には少数ながら存在し、これは粘液貯留嚢胞(mucousretentioncyst)と呼び分けられています。

3.粘液のう胞の見た目・症状

粘液のう胞の大きさは、一般的に直径数ミリ程度で、周囲の粘膜と同様の色、同様の硬さをしており、中身は唾液ですので透明です。また痛みを感じることは通常ありませんが、潰れるとヒリヒリ痛むことがあります。

 

何度も潰れて再発することを繰り返していくうちに、徐々に表面が白っぽくなっていき、硬くなっていきます。大きく成長してしまうと、色が青紫色のようになっていくこともあります。

 

粘液嚢胞の大きさは、ほとんどが5mmほどです。

 

あまり多くはありませんが、中には1cmを超えるような大きさになるものもあります。
色合いは、比較的表面近くに生じた粘液嚢胞は透明感のある薄紫色ですが、深いところに生じた粘液嚢胞は粘膜の色合いに近いピンク色をしています。
痛みのような自覚症状はありません。
ある程度大きくなると、水風船が潰れるように粘液嚢胞も潰れ、中からネバっとした液体が出てきます。
しかし、傷が塞がると内部で唾液が再び溜まってしまうため、再発します。
繰り返し再発する出来物というと悪性の病気のようなイメージがありますが、粘液嚢胞の場合は単に潰れただけなので正しくは再発を繰り返しているわけではありません。

4.粘液のう胞の治療

粘液のう胞は、気をつけて噛まないようにしていれば、自然に治癒していくことがほとんどですが、繰り返し噛んでしまうと、なかなか治らずだんだんと大きくなっていきます。特に、お子さんの場合、唇の裏にのう胞ができて出っ張りがあると、わざと噛んでしまうことも多いですし、食事の際に十分に注意しきれずうっかり噛んでしまいやすいので、特に注意が必要になります。

 

大きくなってしまうと、なかなか治らなくなりますし、食事の際にもどんどん噛みやすくなってしまい、生活にも支障が出てきますので、そのような場合には口腔外科でのう胞を切開して摘出する必要があります。その際、再発を防ぐために、周囲の小唾液腺の組織も一緒に取り除きます。

 

手術自体は簡単なもので、時間もかかりませんが、術後1週間ほどは傷口に触れると痛みを感じることが多いです。なお、手術をしたとしても数%くらいの確率で再発することがありますが、その際にはまた手術を検討する必要があります。

 

お子さんの場合、できれば手術というのはご本人の心理的にも避けたいところですので、もし唇の裏に水ぶくれができている場合には、噛まないよう、ご本人にもわかってもらい、注意してもらうことが大事です。