こんにちは。愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」です。
歯並びが原因の受け口は、インビザラインで治せることがあります。
ただし、重度の場合はワイヤー矯正との併用が必要になる可能性があります。また、顎の骨の形状が原因の受け口はインビザラインでは改善できず、外科手術が必要になることが多いです。
今回は、インビザラインで受け口を治すための方法や治療にかかる期間、費用について解説します。
目次
受け口とは?
受け口とは、奥歯を噛んだときに下の歯が上の歯を覆う状態です。受け口には、主に2つのタイプが存在します。
1つ目は、歯槽性の受け口です。歯並びに問題があるタイプで、比較的軽度のケースに見られます。歯槽性の受け口は、インビザラインなどの矯正治療で改善することが可能です。
2つ目は、骨格性の受け口です。顎の骨の形状が原因で起こります。骨格性の受け口は重度の場合が多く、矯正治療だけで治せることはほとんどありません。矯正治療のほかに、外科的な治療が必要になることがあります。
受け口になる原因
受け口になる原因は、遺伝や成長過程、日常における癖などが挙げられます。
遺伝
受け口が遺伝によって形成されることは少なくありません。親や祖父母、親族が受け口であった場合、こどもも受け口になる可能性があるでしょう。遺伝的な要素は、骨格性の受け口において多く見られます。
顎の骨の形状は遺伝の影響を大きく受けます。親族間で受け口が共通して見られる場合、骨格性の受け口の可能性が高いでしょう。
発育不全または発育過剰
受け口は、顎の発育による問題が原因の場合があります。具体的には、下の顎が過剰に成長した場合、または上の顎が十分に成長しなかった場合に受け口になります。症状が早い段階で認識されれば、こどもの顎の成長に合わせて矯正治療を行うことが可能です。
しかし、成人してから治療する場合、より大がかりな治療が必要になる可能性があります。そのため、顎の成長や歯並びに異常を感じた場合は、早めに歯科医師に相談することが重要です。
治療を早期に始めることで比較的簡単な治療で改善でき、治療期間の短縮や費用を抑えることが期待できるでしょう。
口腔習癖(こうくうしゅうへき)
受け口は、こどもの頃の特定の習慣や癖が原因で発症することがあります。例えば、舌で下の歯を押す、下顎を突き出すなどの行動は、受け口の発生に影響するでしょう。
舌で下の歯を押すと舌の力によって歯が移動し、受け口になることがあります。また、下顎を突き出す癖があると、下顎の成長を促進して受け口になる可能性があるでしょう。
口腔習癖は、一度癖づくと改善することが難しいです。こどもの時期に癖を発見した場合は、早期に対応し治療を始めるとよいでしょう。
受け口をそのままにするリスク
受け口をそのままにすると、さまざまな問題を引き起こします。受け口をそのままにするリスクは、以下のとおりです。
滑舌が悪くなる
受け口は、歯並びや顎の位置が通常とは異なるため、口の中での発音のメカニズムに影響を及ぼし、発音しにくくなることがあります。
特に、舌と上の歯を密着させる必要があるサ行とタ行の音が難しくなる方が多いです。上の歯が適切な位置にないため、発音する際に必要な空気の流れがうまくコントロールできず、空気が漏れてしまうためです。
言葉がはっきりと発せられず、自身の発音がわかりにくい、または不明瞭であると感じることがあります。滑舌が悪いと、話すことが恥ずかしいと感じることもあるでしょう。受け口は発音の問題だけでなく、心理的な側面にも影響を与える可能性があるのです。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
受け口の状態では、上下の歯の噛み合わせが正常に行われません。口腔内の自浄作用が十分に発揮されにくくなります。
自浄作用とは、唾液や舌の動き、口腔内の筋肉の動きによって、口の中の汚れが自然と流される仕組みのことです。
自浄作用が弱まると細菌が口腔内に留まりやすくなり、虫歯や歯周病を引き起こします。受け口の状態で、特に虫歯や歯周病になりやすい傾向にある方は、早めに歯科医院に受診しましょう。
顎関節症のリスクが高まる
受け口を長期間放置すると顎に過度な負荷がかかるため、顎関節症のリスクが高まります。
顎関節症とは、顎の関節部分に異常が生じる病気で、口が十分に開かない、噛むときに顎から音が出る、顎が痛むなどの症状が現れます。
顎関節症の症状は日常生活に影響を及ぼすでしょう。特に食事の際は、顎を活発に動かさなければならないため、重症化すると食事に支障をきたす可能性があります。
胃腸に負担がかかりやすい
受け口では、下の歯が上の歯より前に出ている状態なので、奥歯で食べ物を細かく噛み砕くことが難しくなったり前歯で食べ物を噛み切ることができなくなったりする場合があります。
正しい噛み合わせとは、奥歯を噛み合わせたときに上の歯が下の歯を覆う状態です。
受け口の場合、食べ物を適切に噛み砕く・噛み切る動作が困難になることが少なくありません。食べ物を十分にすりつぶさないまま飲み込むと、消化器官に負担がかかり、消化不良を引き起こす可能性があります。
口呼吸になりやすい
受け口の状態では、下の歯が上の歯を覆うように噛み合うため、唇を閉じるのが難しくなる方が多いです。その結果、口呼吸が常態化しやすいです。
口呼吸が常態化すると口の中が乾燥した状態が続き、細菌の繁殖を促します。細菌が繁殖すると口臭の原因となるでしょう。口内が乾燥することで唾液の自浄作用が低下するので、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
インビザラインで受け口は治せるの?
歯槽性の受け口の場合、歯の位置に問題があるのでインビザラインで治療が可能です。マウスピースで歯を内側へと徐々に移動させて治します。
しかし、重度の受け口ではインビザラインだけでは対応しきれない場合があるでしょう。ワイヤー矯正との併用が必要になることもあります。
骨格性の受け口は骨の位置や大きさに問題があるので、外科手術が必要になることが多いです。下顎骨を切除し、後方へスライドさせて顎の位置を修正する「下顎骨切り術(セットバック法)」を用います。大規模な処置となるため、外科医と歯科医師が連携して治療を進めます。
インビザラインで受け口を治す方法
受け口の治療は、前に突き出た歯列を後ろに下げることが必要です。
インビザラインは、歯列全体に均等な力をかけることができ、特に歯列を後方に移動させることを得意としています。下の顎に十分なスペースがある場合は、前に出ている歯を無理なく移動させ、受け口を改善することが可能です。
しかし、歯が並ぶスペースが不足している場合は、抜歯が必要になるでしょう。抜歯後の矯正にはワイヤー矯正が併用されることもあるので、事前に確認してください。
インビザラインでの受け口治療にかかる期間
インビザラインによる受け口治療の期間は個人差がありますが、1~2年半が目安です。治療する歯の本数が少ない場合、1年以内に治療が完了することもあります。治療対象の歯の本数が多く、抜歯などが必要な場合は、2年以上の期間を要することがあるでしょう。
受け口のインビザライン治療を検討していて具体的な治療期間を知りたい場合は、歯科医院でカウンセリングや検査を受けてください。
インビザラインでの受け口治療にかかる費用
インビザラインで受け口を治療する際にかかる費用は、個々の状況や歯科医院によって異なります。700,000~1,000,000円程度が相場です。
口腔内の具体的な状況や治療対象となる歯の本数、治療期間などによっても、最終的な治療費用は変動します。具体的な費用を把握するには、まずは歯科医院で相談し、自身の口腔状況や治療計画に基づいた見積もりを取りましょう。
まとめ
歯並びが原因である歯槽性の受け口の場合、インビザラインで改善できることがあります。歯を動かす距離が長い場合や、スペースが不足していて抜歯が必要になる受け口の場合は、ワイヤー矯正を併用することがあるでしょう。
顎の骨が原因の骨格性の受け口は、インビザラインやワイヤー矯正などの矯正装置だけでは改善できないことが多いです。骨格性の受け口を治す場合は、外科手術が必要になります。
受け口の原因や程度は患者さまによって異なるため、最適な治療法を知るには、歯科医院で診察・検査を受ける必要があります。無料でカウンセリングを実施している歯科医院もあるので、まずは歯科医師に相談しましょう。
インビザラインで受け口治療を検討されている方は、愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」にお気軽にご相談ください。