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歯科コラム column

「前歯が何で一本だけ黒ずんでるの?」 「この歯だけ黒っぽいんですけどなんでですか?」

歯科コラム2022/08/23

名東区の歯医者、西山歯科・院長、岩瀬です。

このように歯が1本だけ、周囲の歯と比べて明らかに黒ずんでいて、気になっている方もいるのではないでしょうか。周囲の歯と色が違うとどうしても目立ってしまいますし、見た目の問題だけでなく、場合によっては後に何らかのトラブルを起こすこともあります。

 

今回は、歯が一本だけ黒ずんでいる場合の原因や対処法について、ご紹介していきます。

1.歯が黒ずんでいる場合に考えられる原因として

①歯の神経が処置されている場合

過去に神経を抜いたことのある歯の場合、だんだんと歯の色そのものが黒ずんでいきます。年数が経つにつれて変色の度合いが強くなっていきます。以前神経を失った経験ありませんか?

②歯の神経が死んでしまったいた場合

神経を取った記憶がないのに歯の色が黒ずんでいる場合に多いのが、歯の神経が自然に死んでしまっている場合です。
そのようになってしまう原因として多いのが、歯を強くぶつけた事があるという場合や、小臼歯に中心結節と呼ばれる突起がある人の場合に、その突起が折れてしまって神経が死んでしまっている場合などです。
神経が死んでしまうと、歯の感覚がなくなるため、全く痛みを感じないこともよくあります。

③歯並びがガタガタで、一本だけ引っ込んでいる場合

歯並びが1本だけ引っ込んでいると、歯ブラシが届きにくくなるため、着色しやすくなって歯が黒っぽく見えてしまう場合もあります。

2.歯の神経が死ぬとなぜ歯が黒くなるのか?

歯の神経が死ぬと歯の色が変わる理由として、たとえば歯を強くぶつけた場合、歯の内部で出血が起こり、その出血が歯の内部にある象牙質内に入り込んで黒っぽく見えるということがあります。
また、歯の象牙質に存在しているコラーゲンが変性してしまい、黒っぽく見えてしまうということも挙げられます。

3.神経を抜いた覚えがないのに黒ずんでいる歯を放置すると

神経を抜いたことのある歯が黒ずむのは当たり前のことですが、神経を取ってもいないのに黒くなっている場合、中の神経が死んでしまっている可能性があります。

 

そのような場合に、「別に痛くないから」という理由で放置していると、ある日突然強い痛みを起こしたり、歯茎が大きく腫れてしまう危険性があります。

 

もし、神経を抜いた記憶がないのに、周囲の歯に比べて明らかに黒ずんでいる歯がある場合、念のために一度歯科医院で診てもらうことをおすすめします。

4.歯が黒ずんでいる場合の対処法

もし、歯が周囲の歯と比べ、明らかに黒ずんで色が違う場合、一度その歯のレントゲンを撮ってもらいましょう。そしてもしも神経が死んでいることが分かった場合、その時点で痛みや腫れなどの症状がなくても、なるべく早めに神経の治療を受けることをおすすめします。

 

早めに治療を受けることにより、なるべく痛い思いをしなくて済みますし、何よりも大事な歯を抜かずに済む可能性が高くなります。

5.歯が黒ずんでいる場合、見た目を改善する方法

①歯のクリーニングを受ける

こちらは歯並びが引っ込んでいて、ステインなどにより歯が黒ずんでいるケースです。このような場合には、歯科医院でしっらりとクリーニングをすることで、黒ずみを落とすことができます。

②ウォーキングブリーチ

神経を処置ずみの黒ずんだ歯に対し、ウォーキングブリーチとは、歯の裏から穴を開けて薬剤を置いて歯の内側から脱色する方法です。薬剤で歯を内側から漂白していく方法です。歯の内側に漂泊の薬剤を詰め、希望の白さになるまで、薬剤の交換を続けていきます。薬液は過酸化水素水とホウ酸ナトリウムを混ぜたものを使用いたしますが、体への害はありません。薬液は2週間に1度交換し、通常2,3回で終わります。まだ年齢が若い方はウォーキングブリーチでも十分に回復しますので、神経を取った歯をすぐに差し歯にしなくても白くできるのです。歯質が多く残っていて、なるべく自分の歯を削らずに治療したい場合におすすめの治療法です。

 

ウォーキングブリーチを始める前に、対象の歯に虫歯や、内部の細菌感染が起こっていないかを調べ、必要であれば処置を行わなければなりません。 神経の無い歯の場合であれば、既に根管治療をしているケースがほとんどですが、歯の根っこの先に膿が溜まる根尖病変が存在すると、ウォーキングブリーチを行っても、その後、根尖病変が原因で抜歯せざるを得ない状況になりかねません。

a.白さが一生持続することはない

ホワイトニングと同じように、ウォーキングブリーチの場合でも、白さが一生持続するわけではありません。
歯の変色は、象牙細管への色素沈着が主な原因となりますので、喫煙習慣があったり、着色料の多い食事を頻繁に行ったりすると、歯は再び変色してきます。

b.薬剤による発生ガスが原因で、痛みを感じる可能性がある

ウォーキングブリーチは、薬剤を流し込んだ後、必ず仮の詰め物を行います。
定期的な薬剤の交換が必要な理由は、長期間密閉された状態が続くと、薬剤から発生するガスが原因で、根っこや歯を支える骨に悪影響を及ぼし、痛みを伴うからといわれています。

c.ウォーキングブリーチ中に痛みが出たら?

ウォーキングブリーチ中は、まれに痛みを伴うことがあります。そんなときに備えて、痛みの原因を知っておきましょう。落ち着いて、適切な対処を心がけて下さい。

 

使用する薬剤から発生するガスにより、根っこや歯を支える顎骨に圧がかかると、痛みを生じることがあります。
そのため、定期的に中に流し込んだ薬液を交換する方法をとる歯科医院が多いです。

 

痛みの原因、自己判断は危険です。
もしウォーキングブリーチの後に痛くなったとしても、必ずしも原因がウォーキングブリーチだとは限りません。
歯の内部もしくは顎骨に何らかのトラブルが発生した際にも痛みは発生します。特に考えられるのは、神経を失った歯に起こりやすい根尖病変です。
重度の場合、抜歯を行わなければならなくなるため、痛みが生じたら自己判断はせずに早めに歯科医院で調べてもらいましょう。

d.ウォーキングブリーチができないケース

神経を失った歯のホワイトニングに最適であるウォーキングブリーチですが、実はできないケースも存在します。

 

①歯が脆くなっている状態
神経を失った歯は、神経のある歯に比べて、割れたりかけたりするリスクが高くなります。既に脆い状態であったり、ウォーキングブリーチの薬剤による圧に耐えられなさそうな歯である場合は、ウォーキングブリーチをおこなうことはできません。

 

②対象の歯を残存歯の色に正確に合わせたい(審美的要求が高い場合)
ウォーキングブリーチによって得られる効果には個人差があり、どのような白さになるかは歯の状態や質、継続期間等によって左右されます。 対象の歯以外の残存歯(周りの歯)の色と全く同じにすることは難しく、色を細かく調節したい場合は、ウォーキングブリーチ以外の方法を考える必要があります。

③ラミネートベニア

歯の表面をごく薄く削り、表面にセラミックを付け爪のように貼り付けるラミネートベニアという方法もあります。

 

ラミネートベニアとは、歯の表面をごくわずかだけ削って、歯の色をした薄い板を貼り付けて見かけを改善する方法です。歯が変色したり、歯と歯の間に少し隙間がある場合などに有効です。このような場合、以前は歯の全周を削って、その上にすっぽりかぶせもの(クラウン)を入れるのが普通でした。ところが、クラウンをかぶせるためには、なんともない歯を大きく削る必要があります。ラミネートベニアは表面を0.3~0.5mmだけ削れば良いので、処置が簡単で、歯の神経にも影響はありません。
ラミネートベニアの歴史は意外に古く、1920年代にハリウッドの映画スターが撮影用に用いた取り外し式のものが最初といわれています。当時は使用する材料がもろく割れやすいものであり、あくまで撮影用に限られていました。
今から20年ぐらい前に、歯の色をしたプラスチック(レジン)を表面に貼り付けることができるようになりました。けれども、プラスチックは柔らかく水を吸う性質があるため、色が変わったり、表面がすり減ることが問題でした。そこで、プラスチックに代わるものとして、セラミック(ポーセレン)を用いたラミネートベニアが登場しました。ポーセレンラミネートベニアは天然の歯に近い色や光沢をもっており、色が変わったり、表面がすり減ったりすることはほとんどありません。材料がじょうぶになっただけでなく、貼り付ける接着剤も良くなったので、割れたり、はがれたりすることがごくまれになりました。
ラミネートベニアは、変色した歯や、位置や形が少し不自然な歯に使われます。上あごの前歯に使われるのがほとんどです。ラミネートベニアは、セラミックの薄い板を貼り付けるので、大きなむし歯のある場合など歯の表面に接着しにくいときは使えません。また、歯ぎしりやかみしめの癖のある人では割れる可能性が高くなります。

a.ラミネートベニアのメリットは大きく4点です。

歯並びをすぐにきれいにできる
歯の形を簡単に整えることができる
1本から治療ができる
自分の歯を残せる
美しい歯が持続する

b.デメリットとして挙げられるのは以下の2点です。

治療費の面で、保険が適応されないこと
施術内容の面で、健康な歯のエナメル質を削らなければならないこと

c.ラミネートベニアに向いている人

ラミネートベニアに向いている人は、「短期間で美しい歯を手に入れたい人」や、「歯の白さだけでなく、形やすきっ歯を治したい人」「気になる歯が1本だけある人」に向いています。

④セラミッククラウン

歯の表側にすでに詰め物が広い範囲で詰まっている、歯の向きや形もきれいに整えたい、というような場合には、歯を削って上からセラミックを被せてしまう方法できれいにすることができます。

 

以上のように、歯の黒ずみを解決する方法はいろいろあります。歯の黒ずみが気になっている方はぜひお気軽にご相談ください。