名東区の歯医者、西山歯科・院長、岩瀬です。
子供の歯ぎしり、放っておいても大丈夫ですか?
親御さんならやはり、お子さんの習癖に関してとても心配になりご相談をよく受けます。
子供の歯ぎしりというのは結構よくあるものです。
子供とはいえ、かなりの力でギリギリやっているのが聞こえると、親御さんとしては「歯が割れてしまうのでは?」などと、心配になってしまうこともあるかと思います。
実際に、当院でもそのようなご相談を受けることがよくあります。
今回は、子供の歯ぎしりが起こる原因、そして子供の歯ぎしりに対する対処法についてお話していきたいと思います。
目次
1.子供の歯ぎしりが起こる原因
子供の歯ぎしりの原因はいくつかの説があります。
①ストレス
大人の歯ぎしりの原因は、ストレスが主な原因というのが現在の歯科界の見解です。
子どもは生活の活動範囲が大人と比べて狭く、ささいなことと思われる変化でも大きくストレスを受けることがあります。しかし、生活をしていく中で、環境の変化や子どもにとって嫌だと思うことを避け続けることはできません。そのことが子どもの成長を促すこともあるでしょう。毎回、ストレスの原因を敬遠するのではなく、頑張ったときは「嫌なことでもよく頑張ったね」とほめてあげることによって自尊心を育て精神的なサポートをしてみましょう。
今は多種多様の習い事があり、複数の習い事に通う子どもや、毎日塾に通うといったライフスタイルもめずらしくはありません。しかし、毎日習い事に通っている子どもの方が歯ぎしりをしているという研究結果もありますので子どもの様子をみて習い事の日数を決めることも必要かもしれません。
②睡眠不足
睡眠も歯ぎしりととても関係しています。今、あなたの子どもは1日に何時間寝ていますか?
健康のために必要とされる睡眠時間は年齢により異なりますが中学生で8~10時間、小学生で9~11時間、就学時直前ですとなんと10~13時間なんです。他の国と比べると日本は慢性的な睡眠不足の国と言えます。大人はもちろん、子どもも睡眠時間が短いのです。歯ぎしりへの影響は時間だけでなく、睡眠の質も関わってきます。電気がついたままの部屋や、テレビの音が聞こえる環境では、眠りが浅くなり、睡眠の質は低下します。これが深い眠りとされているノンレム睡眠のリズムを狂わせてしまうのです。最近は、就寝前のスマホのブルーライトが睡眠に対して悪影響という報告もあります。もし心当たりのあるお母さんは子どもが寝るための環境を見直してみてください。
子供の場合は、次に挙げる「これから起こってくる生え変わりの準備」として起こっているという意見が多いようです。
③あごの位置を決めるため
実は赤ちゃんも歯ぎしりをしています。赤ちゃんは、上下の歯が生え揃ってくると同時に歯ぎしりをすると言われていますが、これは正しいあごの位置を決定するために必要な歯ぎしりだと考えられています。
④永久歯が生えるためのスペース調整
幼児期や学童期に行う歯ぎしりは、永久歯が生えてくるための準備として起こっていると言われています。
つまり、歯ぎしりをすることで、永久歯が生えるためのスペースの調整をしているという考えです。
永久歯への生え変わりが始まり、乳歯と永久歯が混在している場合には、歯の高さが揃っていないのを、歯ぎしりをすることで噛み合わせのバランスを整えている、とも考えられています。
以上のように、歯ぎしりというのは、健全な生え変わりのために必要なものだとも考えられているため、通常の歯ぎしりはそれほど心配しなくても良いということが言えるでしょう。
2.子供の歯ぎしりへの対処法
①心配や不安になったらまずは歯科医院に受診してみてください
お子さんが、歯ぎしりをすることが原因で痛みを訴えている、歯が異常にすり減っている、というようなことがない限り、通常は様子を見ても問題はありません。
ただ、中学生くらいになって、永久歯に全て生え変わった後でも激しい歯ぎしりが日常化しているような場合には、永久歯にダメージを与えてしまったり、顎関節症を引き起こす原因になったりすることがあるので、一度歯科医院に相談することをおすすめします。
②日中に歯をくいしばる癖がある場合にはやめさせよう
寝ている間の歯ぎしりだけでなく、日中にくいしばっていたり、ギリギリとこすり合せるということを頻繁に行なっていたりする場合、そのような癖が体に良くないということを説明し、意識してやめさせるようにしましょう。
そのような癖があると、夜間の歯ぎしりがひどくなってしまうことがあるからです。日中の食いしばりや噛みしめなどの癖がなくなれば、夜間の歯ぎしりも軽減されていくでしょう。
③ストレスにも注意してあげよう
子供の歯ぎしりは大人と同様、過剰なストレスによっても増える可能性がありますので、お子さんが何らかのストレスを感じているようであれば、そのストレスに対処してあげることも大切です。
④睡眠をしっかりとらせよう
成長過程の大事な時期なのでしっかりと理想的な睡眠時間がとれるように日頃から早寝・早起きの癖をつけさせていきましょう。
⑤削れてしまった乳歯に対して
乳歯は永久歯に比べてやわらかく、歯ぎしりによって削れてしまうこともよくあります。前歯の先端をよくみると以前は丸みを帯びていた形が平らになってしまっているのは歯ぎしりによって歯が削れてしまっているからです。そんなに削れてしまっていたら、冷たいものを口に入れたときにしみてしまいそうですが、痛みを訴えることは多くありません。ですので削れてしまった歯はそのまま経過観察することがほとんどです。 もし痛みがある場合はプラスチックの詰め物をしたり、コーティング剤を塗ったり、どうしてもの時は、歯が削れないようにマウスピースを使用することもありますので一度かかりつけの歯医者さんに診てもらうのがいいでしょう。
歯ぎしりは大人だけがするものだと思っていた方は、子どもが歯ぎしりをするのを見てすごく驚かれるそうです。まずは大人も子どもも、規則正しい生活で睡眠をしっかり確保しましょう。ちなみに夜食が習慣化している子どもにも歯ぎしりが多いと言われています。夜中に一生懸命に勉強することも、ほどほどにしないといけないのかもしれません。