こんにちは。愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」です。
「乳歯はいずれ抜けるから、虫歯になっても放っておいて大丈夫」と思っていませんか。
たしかに乳歯は永久歯に生え変わる一時的な歯ですが、だからといって虫歯を放置してよいわけではありません。乳歯の虫歯を治療せずに放置するとさまざまな悪影響を及ぼすことがあります。
この記事では、乳歯の虫歯を治療せずに放置することで生じるリスクや予防法についてわかりやすく解説します。
乳歯が虫歯になる原因
乳歯は永久歯と比べて虫歯になりやすいという特徴があります。以下に、その理由について詳しく解説します。
歯質がやわらかく酸に弱い
乳歯は見た目には永久歯と同じように見えますが、構造的には大きな違いがあります。乳歯のエナメル質や象牙質は薄いため、酸に対する耐性が弱く、虫歯菌が作り出す酸によって簡単に歯が溶けます。
そのため、虫歯が発生すると急速に進行し、短期間で神経まで到達することも少なくありません。
糖分を多く含むものを摂取している
乳歯の虫歯リスクを高めるもう一つの要因が、食事や間食の内容と回数です。糖分を多く含むお菓子やジュースなどを頻繁に摂取すると、口腔内に長時間糖分がとどまり、虫歯菌の活動が活発になります。
さらに、間食を頻繁にとると、唾液による再石灰化が追いつかなくなります。食べる回数が多いほど虫歯になりやすいということを、保護者の方も理解しておきましょう。
正しくブラッシングができていない
小さなお子さんは、自分ひとりでしっかりと歯磨きをするのが難しく、磨き残しが多くなりがちです。特に奥歯や歯と歯の間には汚れがたまりやすく、虫歯の温床となります。
また、保護者の方による仕上げ磨きが不十分だったり、歯磨きの習慣がまだ定着していなかったりすると、虫歯になるリスクがさらに高まります。子どもの歯を守るためには、保護者の方のサポートが不可欠です。
乳歯の虫歯は治療しないで大丈夫?
乳歯はいずれ抜けて永久歯に生え変わるため「虫歯になっても治療しなくてよいのでは?」と考える方も少なくありません。
しかし、乳歯の虫歯を放置することには、予想以上に多くのリスクが潜んでいます。痛みや腫れなどの直接的な不快症状だけでなく、歯並びや永久歯の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、決して軽視してはいけません。
以下に、乳歯の虫歯を放置するリスクについて解説します。
虫歯菌が神経にまで達する可能性がある
乳歯の虫歯は進行が早く、あっという間に神経まで達することがあります。初期段階では見た目だけの変化ですが、やがて冷たいものや甘いものを口にしたときにしみるようになり、さらに進行すると強い痛みや炎症を伴います。
さらに進行すると、根の先に膿が溜まって腫れたり、発熱を引き起こしたりするケースもあります。これらは乳歯だけの問題にとどまらず、子どもの全身の健康状態にも影響する可能性があるため、放置は避けるべきです。
永久歯の発育に悪影響を及ぼす可能性がある
乳歯の下には、将来生える永久歯の芽が準備されています。乳歯の虫歯が悪化し、根の先に炎症が起きると、この永久歯の発育に悪影響を及ぼすことがあります。
具体的には、歯の表面の形成不全や、萌出方向の異常などが挙げられます。これにより、歯並びが乱れる可能性もあるでしょう。将来的に矯正治療が必要になる可能性もあるため、早めの対応が重要です。
噛む力や発音に支障が出る可能性がある
虫歯が原因で食事の際に痛みを感じるようになると、子どもは無意識のうちに片側だけで噛んだり、やわらかいものばかり選んで食べたりするようになります。これが続くと噛む力のバランスが崩れ、顎の発達や咀嚼機能に悪影響を及ぼします。
また、前歯が虫歯で欠けたり抜けたりすると、発音が不明瞭になり、言語の発達にも支障をきたすことがあります。日常生活のなかでのストレスや、周囲とのコミュニケーションに影響する場合もあるため、慎重な対応が求められます。
乳歯の虫歯を治療する方法
ここでは、乳歯の虫歯を治療する方法をご紹介します。
初期虫歯の場合
乳歯の虫歯がごく初期の段階であれば、必ずしも削って治療する必要はありません。表面に白く濁った斑点が見られる程度の初期虫歯の場合は、フッ素塗布やブラッシングの継続により、再石灰化を促すことが期待できます。
特に小さなお子さんの場合、歯を削る治療は精神的な負担になることもあります。そのため、歯科医師が慎重に診断したうえで、まずは経過を見ながら予防的ケアを行うケースも多く見られます。
エナメル質の虫歯の場合
エナメル質が溶かされている場合には、虫歯に侵された部分を丁寧に削り取ったあと、歯科用の樹脂(コンポジットレジン)を詰めて形を整える治療が一般的です。レジンは白く目立ちにくく、短時間で治療が完了するため、乳歯の治療としてよく用いられています。
象牙質の虫歯の場合
虫歯が象牙質にまで達している場合にも、虫歯部分を削ってレジンを詰めます。歯を大きく削った場合には、型取りをして詰め物を装着するケースもあるでしょう。
神経にまで進行した虫歯の場合
虫歯が神経に達している場合には、神経を取り除く処置(根管治療)が必要になるケースがあります。これは、歯の神経を取り除き、内部をきれいに清掃・消毒する治療法です。
歯の根だけが残った虫歯の場合
歯の大部分が溶かされ、歯の根だけが残っている状態の場合には抜歯を選択することもあります。乳歯を抜いた場合には、永久歯が正しい位置に生えてくるように、スペースを確保する装置(保隙装置)を用いることもあります。
乳歯が虫歯になるのを防ぐためには
子どもはまだ自分でしっかりと歯を磨けないことが多いため、虫歯予防には周囲の大人のサポートが欠かせません。ここでは、乳歯の虫歯を防ぐために効果的な方法をいくつかの視点から解説します。
しっかりとブラッシングと行う
虫歯予防の基本は、日々の丁寧な歯磨きです。乳歯が生え始めたら、できるだけ早く歯磨きの習慣をつけることが大切です。
しかし、小さな子どもが自分で汚れをしっかり落とすのは難しく、磨き残しが多くなる傾向があります。
そこで重要なのが、保護者の方による仕上げ磨きです。特に奥歯や歯と歯の間はプラークがたまりやすいため、夜寝る前には丁寧に仕上げ磨きを行うことで虫歯リスクを減らすことができます。
糖分を多く含む飲食物の摂取を控える
食生活も虫歯予防に大きく関わります。甘いお菓子やジュースなど、糖分を多く含む飲食物を頻繁に摂取すると、虫歯菌が活発になりやすいです。
そのため、糖分を多く含む飲食物は控えたほうがよいでしょう。水分補給にはジュースではなくお茶や水を選ぶことが望ましいとされています。
間食を減らす
間食の回数が多いと、口の中が酸性に傾く時間が長くなり、再石灰化が追いつかなくなります。おやつの回数をできるだけ減らすことで、虫歯予防に大きな効果があります。
フッ素を活用する
フッ素には、歯の表面を強化し、虫歯菌が出す酸に対する抵抗力を高める働きがあります。フッ素入りの歯磨き粉を毎日使用することで予防効果が期待できます。
さらに、歯科医院ではフッ素塗布という処置を受けられます。歯科医院では高濃度のフッ素を使用するため、より効果的に虫歯を予防できます。
定期検診を受ける
虫歯を予防するためには定期検診を受けることも大切です。定期検診では歯の状態をチェックするだけでなく、歯のクリーニングも受けられます。自宅での歯磨きでは落とし切れない汚れを除去してもらうことで虫歯の予防につながります。
まとめ
乳歯は一時的な歯ですが、その虫歯を軽視すると、永久歯の健康や子どもの発育に大きな影響を及ぼす可能性があります。
痛みや炎症だけでなく、歯並びや噛み合わせ、発音の問題にもつながる可能性があるため、いずれ抜けるからと放置するのは非常に危険です。また、虫歯があることが当たり前になると、歯を大切にする意識も育ちにくくなります。
大切なのは、予防と早期の対応です。お子さんの健やかな成長のために、今できることから始めてみてください。
お子さんのお口の健康を守りたいとお考えの方は、愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科や小児歯科、ホワイトニング、インプラント、矯正治療など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひ参考にしてください。