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歯科コラム column

「歯の移植とインプラントってどう違う?」

歯科コラム2022/04/01

名東区の歯医者、西山歯科・院長、岩瀬です。

歯の移植って聞いた事ありますか?

歯を失った場合の治療法にはいくつかありますが、その中で周囲の歯に負担をかけずにできる方法として、歯の移植とインプラントという方法があります。今回はこの2つの治療法について、メリットやデメリットも含めてご紹介します。

 

1.歯の移植

 

歯の移植というのは、歯を失った顎の骨に、ご自分のどこか別の歯を抜いて植えることを言います。
移植に使われる歯としては、通常、健康な親知らずが多く、まれに位置がずれている役にたっていない歯が使用されることもあります。

ただし、そのような条件に合う歯がなければ行うことはできませんし、歯根が大きく曲がっている、サイズが違いすぎる、というようなことがあれば難しいため、あまり頻繁に行われることはありません。

むし歯や歯周病などで歯を失ってしまった場合、通常はブリッジや入れ歯、インプラント治療を行いますが、親知らずなどの余っている歯があって適切な条件が揃っていれば、その歯を欠損部に移植して機能を回復させることができます。

歯の移植治療は、①移植できる歯がある、②患者さんの年齢や移植する歯の形態が移植に適している、③移植する部位と移植する歯の大きさが合っている、など様々な条件をクリアする必要があり、術者にとっても簡単な治療ではないため、積極的に行っている歯科医院は多くありません

 

2.インプラント

 

インプラントというのは、歯を失った部分の顎の骨にチタン製のインプラントを埋め、セラミックなどの人工歯をかぶせる方法です。

インプラントの場合は、様々なサイズがあるため、その場所にぴったり合ったものを選んで入れることができます。

 

3.歯の移植のメリット・デメリット

 

①メリット

 

a.ご自分の歯を使うので安全
歯の移植の大きなメリットとして、ご自分の歯を利用するのでアレルギーなどの反応を起こすこともなく、安全性が高いということが挙げられます。

b.使っていない歯を有効利用できる
機能していない歯を有効利用できるのも嬉しいポイントです。

c.治療費を抑えられる
歯の移植は抜歯した後、親知らずを同日に移植するケースにおいては保険を適用することができます。そうでないケースにおいても、材料費などがそれほどかからないので、経済的に治療を済ませることができます。

 

②デメリット

a.移植できる歯がないとできない
移植歯として使えるような親知らずなどの歯がなければ行うことができません。

b.サイズや歯根の形などによってはできない場合もある
例え使っていない親知らずがあったとしても、サイズが合わなかったり、歯根が大きく曲がっているなどの理由で、一塊で抜けないケースでは移植歯として使うことができません。

c.くっつかない場合もある
歯を移植した後は、隣接する歯と接着材で2ヶ月ほどしっかりと固定し、骨と定着するのを待ちます。もしその間に強い負荷がかかったり、不潔な状態になっているとうまく定着しないことがあります。

d.歯が骨と癒着することがある
移植歯と骨が固定されたとしても、後に両者が癒着して一体化し、歯根破折などを起こすケースもあります。

 

4.インプラントのメリット・デメリット

①メリット

 

a.ベストなサイズを選べる
インプラントの場合、サイズのラインナップが幅広いため、様々なサイズからご自分にぴったりのサイズを選ぶことができます。

b.移植よりは長持ちすることが多い
インプラントは移植とは異なり、移植歯が骨と一体化してしまう、というようなことが起こりません。そのため、一般的には移植よりも長持ちをする傾向があります。

②デメリット

 

a.治療費が高額
インプラントは保険適用がないため、1本につき数十万単位の治療費がかかり、特に保険の移植と比較するとかなり高くつきます。

b.金属アレルギーのリスクがゼロではない
インプラントの原料となっているチタンという金属は、安全性が高く、金属の中でも非常に金属アレルギーを起こしにくいものとして知られており、心臓ペースメーカーや骨折時のボルトなどにも使用されています。ですが、ごくまれにチタンに金属アレルギーを起こすケースが報告されています。


このように、歯の移植とインプラントはそれぞれに違う特徴、メリット・デメリットがあります。歯の移植を行える条件をお持ちの方であれば、インプラントを行う前にまずはご自分の歯を有効利用できる移植を試してみる、というのも一つの選択肢です。興味のある方はご相談ください。

 

 

5.歯の移植の手順

 

①レントゲンでの診査・診断
②治療計画の説明
③移植手術
④二週間程度の経過観察
⑤根管治療・根管充塡
⑥経過観察
⑦補綴物の選択・型取り・装着
⑧メンテナンス

手順としてはこのような順番で行います。

一番大事な事は最初の時点の診査・診断になります。
諦めて抜歯するよりも、可能性があるのであれば一度診査・診断をして条件に当てはまるのかを確認して見ましょう。