こんにちは。愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」です。
初期段階の虫歯では自覚症状がほとんどありませんが、病気が進行するに従って歯に穴が開いたり激しい痛みが出たりするようになります。患者さんのなかには「もう少し様子を見ても大丈夫かな」と放置する方も多くいらっしゃいます。
しかし、放置して病状が悪化すれば、抜歯が必要になるケースもあるため注意が必要です。
今回は、虫歯のメカニズムや治療法、費用、放置するリスクなどについて解説します。
目次
虫歯のメカニズム
虫歯は、ミュータンス菌への感染によって引き起こされ、進行段階によってCO〜C4の5段階に分類されます。まずは、虫歯がどのようにできるのかについてみていきましょう。
ミュータンス菌への感染
通常、生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には、虫歯の原因となるミュータンス菌は存在していません。
しかし、食べ物の口移しや食器の共有、熱い食べ物を冷ましてから与える際などに、唾液を介してミュータンス菌への感染が起こります。なお、3歳頃までにミュータンス菌への感染を防ぐことができれば、その後は虫歯になりにくいといわれています。
糖分によって増殖する
ミュータンス菌は、食べ物や飲み物に含まれる糖分をエサとして口の中で増殖します。そして、糖分から水に溶けにくいグルカンを作り、歯の表面に付着します。さらに、ミュータンス菌はほかの細菌と合わさって歯垢(プラーク)を形成します。
糖分から酸を産生する
ミュータンス菌は、ほかの細菌とともにプラークの中で増殖しながら酸を産生します。プラークが付着した歯の表面のpHが5.5以下になると、表面のエナメル質が溶け始めます。
虫歯の治療法と費用
ここからは、虫歯の治療法と費用を進行段階別に解説していきます。
初期の虫歯(CO)
COは、歯の表面のエナメル質が溶け始めて白く濁った状態を指します。このような変化を脱灰といいます。
この状態であれば、歯を削らなくても適切なブラッシングやフッ素塗布で自然に治る可能性があります。初期段階の虫歯の治療費の目安は3割負担で1,500円程度ですが、初診時には初診料として別途3割負担で3,000円〜4,000円程度かかります。
エナメル質の虫歯(C1)
C1では、エナメル質が溶けてわずかに穴が開いた状態です。通常、脱灰が起きても唾液の作用によって表面が修復されます。これを再石灰化といいます。
しかし、口腔内が酸性に傾く時間が長くなると脱灰が進み、エナメル質に穴が開いた状態になります。黒や茶色の点や溝の変色が見られるようになりますが、この段階では痛みを感じることはほとんどありません。
この状態では、虫歯に冒された部分を削り、歯科用プラスチック(レジン)を詰めて治療します。費用の目安は、3割負担で3,000円程度です。
象牙質まで進んだ虫歯(C2)
C2は、エナメル質の下の象牙質にまで虫歯が進行した状態です。この段階においても目立った痛みを感じることは少ないですが、冷たいものを飲んだり食べたりした際にしみることがあります。
この場合にも虫歯に冒された部分を削って詰め物を施しますが、C1よりも削る部分が多くなるためレジンでは対応できない可能性もあります。そのようなケースでは、歯型を取ってから詰め物を作成します。
費用の目安は、3割負担で3,000円〜1万円程度です。自費治療の材料を選ぶことも可能ですが、その場合には追加で費用がかかります。
歯髄にまで進んだ虫歯(C3)
C3は、虫歯が神経にまで達した状態です。見た目には大きな変化がみられなくても、歯の内部で病巣が広がっていることもあります。虫歯が神経に達すると、何もしていなくても激しい痛みを伴います。
神経にまでダメージが及んだ場合には、根管治療が必要となります。根管治療では、まず神経を除去し、神経が入っていた管(根管)の内部を洗浄・消毒します。汚染部が完全にきれいになったことを確認したあと、根管内に薬剤を充填して土台を作り、被せ物をします。
なお、根管治療は段階的に行う必要があるため、治療期間が長くなることが一般的です。治療費の目安は、1万円〜2万円程度となります。保険適用外の被せ物を選択する場合は、選ぶ素材によって追加費用がかかります。
歯根だけ残った虫歯(C4)
C4は、歯の大部分が溶けてなくなり、歯根だけが残った状態です。ここまで達すると神経が壊死し、痛みを感じなくなります。
しかし、神経が露出して細菌感染を起こすと歯根部に膿が溜まり、再び激しい痛みに襲われます。このまま放置すれば全身の健康に影響を及ぼす可能性があるため、抜歯を行うことが一般的です。
抜歯をしたあとは、欠損した箇所を部分入れ歯やブリッジ、インプラントなどで補うことが一般的です。抜歯の費用自体は3,000円〜7,000円程度ですが、歯を補う方法によって追加で治療費がかかります。
3割負担の場合、部分入れ歯は5,000円〜1万3,000円程度、ブリッジは1万1,000円〜3万8,000円程度が目安です。自費のものを選択する場合には、数十万円かかることもあります。インプラントは保険適用外で、1本あたり30万円〜40万円程度の費用がかかります。
歯を補うための治療の種類や内容、費用などについて詳しく知りたい方は、歯科医院へお問い合わせください。
虫歯を治療せずに放置するリスク
虫歯を治療せずに放置すると口腔機能に支障が出るだけでなく、全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。虫歯を放置する主なリスクは、以下の通りです。
激しい痛みが出る
初期段階の虫歯では無症状のことがほとんどですが、神経にまで達すると激しい痛みが生じるようになります。なにもしていないときや就寝時でも激しく痛むため、日常生活に支障が出ることが考えられます。
なお、虫歯によって神経が壊死すると激しい痛みがいったん治まりますが、神経が露出して細菌感染を引き起こし膿が溜まると、再び激しい痛みが生じます。
口臭がひどくなる
虫歯が進行すると、歯に開いた穴の中に食べカスや汚れが蓄積したり、神経が腐ったりして悪臭が生じるようになります。また、歯根に膿が溜まって嫌なにおいの原因となることもあるでしょう。
食べ物が噛めなくなる
虫歯が内部にまで広がると歯がもろくなり、折れたり崩れたりしやすくなります。そのため、食べ物が噛めなくなることも考えられるでしょう。場合によっては、抜歯が必要になることもあります。
治療の負担が大きくなる
初期段階の虫歯の場合、適切なブラッシングやフッ素塗布のみで治療が完了することもあります。
しかし、虫歯が重症化するほど治療にかかる回数や期間、患者さんの負担が増えていきます。また、その分治療費も多くかかりますので、できるだけ早めに治療を開始することが望ましいでしょう。
ほかの病気を引き起こすことがある
虫歯を放置していると細菌がほかの部位にまで侵入し、副鼻腔炎や骨髄炎などを引き起こすことがあります。これによって、痛みや腫れが生じることもあるでしょう。また、細菌が血管内に入り込むと、脳梗塞や心筋梗塞などを発症するリスクもあるため注意が必要です。
まとめ
初期の虫歯では痛みなどの自覚症状はほとんどみられないため、放置する患者さんが多くいらっしゃいます。
しかし、そのまま深くまで進行すると、神経にまでダメージが及ぶこともあるでしょう。
虫歯が神経にまで達すると、何もしていないときでも耐えがたい痛みを感じるようになり、根管治療が必要となります。また、根管治療は1回で完了するものではなく段階的に行うため、治療完了までに何度も通院しなければなりません。
なお、虫歯を放っておくことにより、抜歯のリスクや全身の病気を引き起こす可能性もあります。虫歯が重症化すればするほど患者さん自身の負担が増えるため、早期に治療を受けることが大切です。
「痛みはないけれど、黒い点ができている」「最近、口臭がひどくなった気がする」など、お口のことで気になる点がある場合には、歯科医院で相談しましょう。
虫歯にお悩みの方は、愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」にお気軽にご相談ください。
当院では、一般歯科や小児歯科、ホワイトニング、インプラント、矯正治療など、さまざまな診療を行っています。ホームページはこちら、WEB予約も受け付けておりますので、ぜひ参考にしてください。