こんにちは。愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」です。
虫歯が歯の神経にまで達したときに行われるのが根管治療(こんかんちりょう)です。この治療は、歯を抜かずに残すための重要な処置ですが、実際に治療を受けた方のなかには「なぜこんなに通院回数が多いの?」「1回で終わらないの?」と疑問に思う方も少なくありません。
根管治療は1回で終わるものではなく、時間のかかる治療です。歯の内部は非常に細かく複雑な構造をしており、少しでも細菌が残ると再発のリスクが高まるため、慎重な処置が必要になります。
今回は、根管治療の回数や、少ない回数で終えるためのポイント、実際の治療の流れについて詳しく解説します。根管治療を受ける予定がある方や根管治療中の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
根管治療とは
根管治療とは、虫歯が歯の神経(歯髄)まで進行してしまった場合に、感染した神経や血管を取り除き、歯の内部をきれいに清掃・消毒する治療のことです。神経を抜く治療といわれることもあり、歯をできる限り残すために大切な治療です。
歯の内部には根管と呼ばれる細い管があり、そこをしっかり清掃して細菌を除去しなければなりません。
根管は非常に複雑な形状をしており、歯ごとに本数や形が異なります。たとえば、前歯は1本の根管であることが多いのに対し、奥歯には3本以上の根管が存在することもあります。
根管治療は精密さが求められ、肉眼では確認できない部分までしっかりと処理するために、マイクロスコープやラバーダムなどの専用器具が使用されることもあります。
この治療を適切に行えば、歯の寿命を大きく延ばすことができますが、逆に中途半端な処置では再感染を起こし、再治療や抜歯が必要になることもあります。そのため、時間と手間をかけて丁寧に進めることが非常に重要なのです。
根管治療の回数はどれくらい?
根管治療の回数は、患者さんの歯の状態や感染の進行度によって大きく異なります。一般的には3〜5回ほどの通院で完了するケースが多いですが、重度の場合は6回以上かかることもあります。
治療は、感染除去・洗浄と消毒・根管充填・最終的な被せ物の装着という流れで進められます。1回の治療で行える範囲は限られており、根管内部の状態を確認しながら慎重に進める必要があります。
また、歯の根が曲がっていたり、細菌感染が深い部分に及んでいたりする場合は、清掃や消毒に時間がかかるため、通院回数が増える傾向にあります。歯科医師が「もう少し通ってください」と言うのは、再発を防ぐために最も重要な工程を確実に行うためです。
治療回数が増えるケース
根管治療の回数が多くなるのは、単に治療が長引いているからではなく、いくつかの理由があります。代表的なケースとしては以下のようなものが挙げられます。
感染の範囲が広い場合
歯の内部の感染が深く、根の先端まで細菌が広がっている場合には、治療回数が増える傾向があります。感染が広範囲に及んでいると、1回の治療で完全に細菌を除去するのは難しいため、薬剤を入れて消毒を繰り返しながら、徐々に清潔な状態へと導いていく必要があります。
特に、膿がたまっているケースでは、炎症の改善を確認しながら慎重に治療を進めるため、複数回の通院が必要です。無理に短期間で終わらせようとすると、再発のリスクが高まり、結果的に再治療が必要になることもあります。
再治療(過去の根管治療後の再感染)
過去に根管治療を受けた歯が再び痛みや腫れを起こした場合、再治療が必要になります。
再治療では、前回の被せ物や充填材をすべて取り除き、再び根管内部を清掃し直さなければなりません。この過程は非常に手間がかかり、前回の治療で使用された材料の除去に時間を要することもあります。
さらに、歯の内部に残っている古い薬剤を完全に除去するためには、高度な技術が必要です。そのため、再治療の場合は通常よりも通院回数が多くなる傾向にあります。
歯の形状が複雑な場合
歯の根の形状は、個人によって大きく異なります。特に奥歯は根管の本数が多く、曲がりくねっていたり枝分かれしていたりすることがあります。このような複雑な構造の歯では、根管の奥まで器具が届きにくく、清掃や消毒に時間がかかります。
根管の見落としがあると、のちに細菌が繁殖して再発の原因となるため、丁寧な処置が求められます。精密に治療を行う必要があるため、どうしても治療回数が増えるのです。
治療設備や技術の差による影響
歯科医院によって使用する機器や治療技術には差があります。例えば、マイクロスコープなどの最新機器を導入している歯科医院では、効率よく治療を進められるため、回数を減らせることがあります。
一方、肉眼での治療では、細部の確認が難しく、確実に感染を取り除くために複数回に分けて行う必要があります。また、保険診療の範囲では1回の治療時間が限られているため、結果的に回数が増えるケースも少なくありません。
根管治療の回数を減らすことはできる?
なるべく少ない回数で終わらせたいと考える方は多いでしょう。実際、最新の技術や設備を用いることで、従来よりも短期間で治療を完了できるケースも増えています。
たとえば、マイクロスコープを使った精密治療では、目視できない細かな部分まで確認できるため、1回あたりの処置精度が大幅に向上します。これにより、通院回数を減らすことが可能になる場合もあります。
ただし、どんなに優れた技術を用いても、感染の程度が深刻な場合や再治療では回数を減らすのが難しいこともあります。また、治療を急ぐあまり、細菌が残った状態で薬剤を詰めると再発のリスクが高くなります。
つまり、根管治療の回数を減らすためには、治療技術だけでなく、初期段階での早期受診や、歯科医師との十分なコミュニケーションが欠かせません。痛みが出たけどまだ我慢できると放置せず、早めに治療を始めることで、回数も負担も大きく減らすことができるのです。
根管治療の流れ
根管治療は一見単純なように見えますが、実際には複数のステップを踏んで慎重に行われます。ここでは、一般的な治療の流れを具体的に説明します。
診査・診断
まずは、歯や周囲の状態を正確に把握するための検査から始まります。レントゲン撮影やCT撮影を行い、歯の根の形や長さ、感染の範囲、膿の有無を確認します。歯の内部構造は肉眼で見えないため、画像診断が非常に重要です。
これにより、どの部分をどの程度処置する必要があるかを判断し、治療計画を立てます。ここでの診断の精度が、治療の成功率を大きく左右するといっても過言ではありません。
麻酔と根管へのアクセス
治療が必要な歯に局所麻酔を施します。根管治療では歯の神経を取り除きますが、麻酔をしっかり効かせるため痛みを感じることはほとんどありません。
麻酔後、歯の上部に小さな穴を開け、根管へとアクセスします。ここで、ラバーダムという薄いゴムのシートを装着することで、唾液中の細菌が歯の中に侵入するのを防ぎ、清潔な状態で治療を進めることができます。
感染した神経・組織の除去
歯の内部にある感染した神経や血管(歯髄)を、専用の器具で慎重に取り除きます。感染源を残さないようにすることが、この治療で最も重要なポイントです。
根管内の洗浄と消毒
神経を除去したあとは、根管内部を洗浄・消毒し、細菌を完全に取り除きます。清掃後には、薬剤を詰めて仮封(仮の詰め物)をし、炎症の改善を数日〜1週間ほど観察します。炎症や痛みが完全に治まった段階で、次のステップに進みます。
根管充填
根管の中が清潔になったら、再び細菌が侵入しないように根管充填を行います。これは、専用の材料を使って、根管の隙間を完全に密封する工程です。この工程は治療のなかでも特に重要で、少しでも隙間があると再感染を招く恐れがあります。
精密な根管充填を行うことで、再発のリスクを最小限に抑えることができます。
被せ物(クラウン)による修復
根管治療を終えた歯は、非常に脆くなっています。そのため、最終的に被せ物(クラウン)を装着して歯を補強する必要があります。
クラウンには金属やセラミックなどの素材があり、見た目や強度、費用などのバランスを考慮して選択されます。これにより、治療後も自然な噛み心地を維持しながら、長期間にわたり歯を守ることができます。
まとめ
根管治療は時間がかかる治療という印象を持たれがちですが、それは歯をできるだけ長く残すための大切なプロセスです。治療回数が多いのは、それだけ慎重に感染を取り除き、再発を防ぐためなのです。
現代の歯科治療では、マイクロスコープや最新器具の導入により、以前よりも正確で効率的な治療が可能になっています。
とはいえ、根管治療を成功させるために最も大切なのは、歯科医師との信頼関係と、患者さん自身の根気です。歯科医院に通うのが大変と感じるかもしれませんが、きちんと最後まで通院することで、その歯を長く健康に保つことができます。
もし治療に不安を感じる場合は、事前に歯科医師に相談し、納得のいく説明を受けてから治療を進めると良いでしょう。
根管治療を検討されている方は、愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」にお気軽にご相談ください。
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