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歯科コラム column

「インプラントは体に安全ですか?」 「インプラントって金属アレルギーは大丈夫ですか?」

歯科コラム2022/03/22

名東区の歯医者、西山歯科・院長、岩瀬です。

何かの原因で歯を失ってしまった場合、ブリッジや入れ歯・インプラントで選択を悩まれる方が多くいらっしゃいます。
歯のインプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め、その上に被せ物をする治療法ですが、
顎の骨に埋め込むということで、安全性について気になっている方も多いと思います。
インプラントの素材は「チタン」と呼ばれる金属ですので、金属アレルギーを起こさないかな?と疑問に感じている方もいると思います。今回はインプラントの安全性についてお話していきます。

 

1.チタンは体に影響が出にくい金属です

 

ほとんどのインプラントは「チタン」いう金属を原材料としています。チタンは生体親和性(体に馴染みやすい性質)が高い金属で、古くから医療の現場では心臓のペースメーカーや、人工関節の材料などに広く活用されています。

歯科で使われる金属がアレルギーを起こすことがあると聞いた事はありませんか?
問題になることがあるのが、主にニッケル、クロム、コバルト、銅、インジウム、イリジウム、パラジウムなどの材料です。

チタンは材質的に安定しており、金属アレルギーを非常に起こしにくい金属として知られています。その理由からも体に埋め込まれる材料として選ばれているのです。

 

2.金属アレルギーがあってもインプラントは大丈夫か

 

アレルギー体質の人は年々増えていると言われています。金属アレルギーも例外ではなく、それまで大丈夫であっても突然金属に対してアレルギーを発症することもあります。

しかし、金属アレルギーがあるからといって、すべての金属にアレルギーを起こすわけではありません。金属にはアレルギーを起こしやすい金属と、そうでない金属があります。

「チタン」は金属の中でも特にアレルギーを起こしにくい金属として知られています。
ただし、ごく稀にチタンでも金属アレルギーを起こすケースがあることが報告されています。
そのため金属アレルギーのある方は、インプラント治療を受けると決める前に、金属アレルギーの検査をされてもいいかもしれませんね。

チタンにアレルギーがあるかどうかを調べるには、事前に「パッチテスト」という検査をして調べておくことができます。

 

3.歯科金属アレルギーの症状

 

特定の金属に対するアレルギー(金属アレルギー)によって、その金属に触れたり、その金属を含む食べ物を身体に取り込むことによって起きるアレルギー症状の総称です。

金属によるアレルギーは、「金属に直接触れることで皮膚がかぶれるタイプ」と、「全身に症状が出るタイプ」の2つのタイプがあります。
金属に直接触れることで皮膚がかぶれるタイプの金属かぶれは、金属製のアクセサリーやベルトのバックル、金属を使用した染料で染めた装身具や衣類、および化粧品など、金属を使った製品に触れた部位に一致して皮膚にかぶれの症状が現れる病気です。また汗をかかないと症状は出にくく、汗をかきやすい夏や運動した後に生じやすいのが特徴です。

全身に症状が出るタイプは稀で、原因となる金属を食品や歯科材料などを介して身体の中に取り込むことで起きるアレルギー症状で、症状の出方は様々です。
いずれのタイプの金属かぶれであっても、原因となる金属を避けることによって、ある程度症状をコントロールできます。
金属かぶれの症状は時間が経過してから現れることもあるので、原因となる金属を自分で特定することは困難です。気になるときは医療機関でパッチテストを受けましょう。

歯科金属が原因でアレルギーを起こす場合、口の周辺だけでなく、体の全く関係ない部分にも反応が出ることが多いという特徴があります。

 

①口周辺に現れる症状

 

a.口周辺の炎症やただれ

お口の中の金属は常に唾液と触れ合っているため、金属イオンとなって唾液中に溶け出しやすくなります。唾液中に溶け出した金属イオンは、たんぱく質と結びついて抗原となり、口の粘膜を荒らしたり、口内炎を作ったり、口の周囲にも炎症を起こすことがあります。

また、金属の下で二次的な虫歯になることもよく起こります。

b.味覚がおかしくなる

舌の表面にアレルギー反応が起こると、味覚にまれに異常をきたすことがあります。

 

②全身に現れる症状

 

a.掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

金属イオンが体内へ入ってタンパク質と結合して抗原となり、汗と一緒に皮膚から排出される時にアレルギー反応を起こします。特に多いのが、手の平や足の裏で、これらの部分は汗をかきやすく、その部分に膿の袋や水疱のような症状を起こす場合があります。これを掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)と言い、金属アレルギーの場合によく見られます。

b.湿疹、アトピー性皮膚炎

全身のあちこちの皮膚にも同様に、汗となって出てくる場所に湿疹やアトピー性皮膚炎のような症状を起こすことが確認されています。
このように、金属アレルギーは全身症状として現れる場合、まさか口の中の金属が原因だとは思われず、原因特定されないまま、その症状で苦しみ続けることが少なくありません。

チタンは金属アレルギーを起こす可能性としては低いですが、すでに金属アレルギーのある方は念のために一度調べておくと安心だと思います。

 

4.金属アレルギーが生じる作用機序

 

金属に対するアレルギー反応は、①「感作(かんさ)」と②「誘発(ゆうはつ)」の2つのプロセスによって起こります。

「感作」 とは、金属は汗に触れると陽イオン化し、体内に入り込みます。イオン化した金属は、身体の中のタンパク質と結合して「金属タンパク複合体」になり、免疫細胞によって異物として記憶されます。免疫細胞は、次に同じ異物が体内に侵入してきたときに、すぐに攻撃できるように備えます。

「誘発」 とは、感作された物質が体内に再び入ってくると、過剰な免疫反応が起こり、様々なアレルギー症状を引き起こします。感作された物質であれば、たとえ微量であっても強いアレルギー反応が起きることもあります。 金属アレルギーは、全ての人がなるわけではなく、触れる金属の種類やその人の体質などの条件によって発症します。金属に触れる機会が多かったり、金属をつけたままスポーツをしたり、高温多湿の環境にいて汗をかくことが多かったりすると発症しやすくなります。 私たちの身の回りには、様々な金属がありますが、汗によって溶けやすい金属ほど、体内に取り込まれやすく、アレルギーを引き起こしやすいことがわかっています。特に、ニッケル、コバルト、クロムの3つは三大原因金属とも呼ばれ、汗に含まれる塩素イオンに反応してイオン化しやすく、体内に移行して金属アレルギーを引き起こしやすい物質です。

 

5.インプラント後に金属アレルギーが起こった場合

 

もし、インプラント治療後に金属アレルギーが疑われる症状が起こった場合、まずは歯科医師に相談してみましょう。もしその後アレルギーのパッチテストを受けてチタンアレルギーが原因だとわかった場合、インプラントを除去する必要性が出てきます。

インプラントを除去することになった場合、代わりの治療法としては、金属不使用のブリッジや入れ歯という選択肢があります。

可能であれば、せっかくインプラント治療を受けたのに取り除くということにはしたくないものです。そうならないためにも、すでに金属アレルギーのある人は、インプラントを受ける前に担当医に伝えて検査を受けておくと安心かと思います。

 

6.金属アレルギーの治療・予防法

 

金属アレルギーかどうかの判断は主にパッチテスト(金属をしみこませたフィルムを皮膚に貼ってアレルギーの有無を判定するテスト)の検査結果をもとに医師が診断します。気になる症状があるときは、医療機関で検査を受けましょう。
特定の金属が一度感作されてしまうと、金属によるアレルギー自体は治療することはできません。ただし、原因金属がわかっているときは、それらに触れたり口から取り込んだりすることを避けることによって、ある程度症状をコントロールすることができます。
アレルギー反応による赤みやかゆみ、ブツブツなどの皮膚症状に対しては、充分な強さのステロイド外用剤で炎症を抑え、症状を抑えます。

 

7.こんなときは医療機関で確認を

 

  1. ステロイド外用剤を一週間程度使用しても症状が治まらない、何度も発症を繰り返すとき
  2. 手のひら2~3枚分を超えて広範囲に皮膚症状がでているとき
  3. 水ぶくれができた場合や、かゆみ、痛みがひどい場合
  4. 稀に、アナフィラキシーショックという重篤な症状に陥ることがあります。皮膚症状以外に、息苦しさ、めまい、吐き気などの症状が現れた場合は、すみやかに医療機関を受診する必要があります。

 


予防法

金属かぶれにならないためには、金属アレルギーを引き起こしやすい金属に頻繁に触れないように心がけましょう。眼鏡や時計など、肌につけて使用する日用品は、チタン製やニッケルフリーのものを選ぶとよいでしょう。アクセサリーも、イオン化しやすいメッキ製品は避け、純度の高いプラチナや金を選ぶと比較的安全です。
夏場や運動時など、汗をかきやすい状況では金属を身につけないようにすることも大切です。 金属が体液に触れやすいピアスは、金属アレルギーを引き起こしやすいので要注意です。ピアスを開ける場合は、医師の指示に従うこと、ピアスホールが安定するまでは、チタン製あるいは金属以外の素材のものを使用することが大切です。
入れ歯やインプラント、歯の詰め物は、金属かぶれの発症につながることがあります。口腔ケアを習慣づけ、虫歯にならないようにしましょう。
もし金属かぶれになってしまった場合は、原因金属を避けることが一番の発症予防になります。医師の指導のもと、身の回りの金属製品や微量の金属を含む食品に注意を払って生活しましょう。