こんにちは。愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」です。
透明なマウスピースを使用するインビザラインは、人気の矯正治療方法です。
しかし、歯ぎしり・食いしばりを日常的に行っている場合、インビザライン治療が受けられないことがあります。症状が改善されればインビザライン治療を受けられることもあるため、歯ぎしり・食いしばりの原因や対処法について知っておくとよいでしょう。
今回は、歯ぎしり・食いしばり癖がある場合のインビザライン治療について解説します。歯ぎしり・食いしばりをする原因や対処法についても解説しているため、インビザライン治療を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
歯ぎしり・食いしばりとは?
歯ぎしり・食いしばりは、就寝中や集中しているときなどに無意識で行ってしまいます。
歯ぎしりは就寝中に行っていることが多く、カチカチと上下の歯を小刻みに噛み合わせる「タッピング」と、ギリギリと横にすり合わせる「グラインディング」の2種類があります。歯ぎしりは「カチカチ」や「ギリギリ」と音がすることから、ご自身では自覚がなくても、他人から指摘されてはじめて気づく方もいらっしゃるでしょう。
食いしばりとは、上下の歯をグッと強く噛みしめる癖のことで「クレンチング」とよばれています。食いしばりの最中は、歯ぎしりのように音がしないことが多いため、他人から指摘されることが少なく、自覚がない方も多いでしょう。食いしばり癖がある方は、就寝中だけでなく、日中や集中しているときなども行いやすいといわれています。
このように、歯ぎしり・食いしばり癖がある方は、就寝中や集中しているときなどに無意識で行っていることが多いため、ご自身では気づきにくく、他人や歯科医院で指摘されてはじめて気づくことも少なくありません。
歯ぎしり・食いしばりをしてしまう原因
歯ぎしり・食いしばりをしてしまう原因は、以下のとおりです。
・疲れやストレスが溜まっている
・眠りが浅い
・噛み合わせが悪い
・集中している
・スポーツや力仕事をしている
歯ぎしりや食いしばりは、疲れやストレスが溜まったときに行いやすいといわれています。特に、眠りが浅いと歯ぎしりや食いしばりをしやすいため、慢性的に睡眠時間が少ない方やストレスが溜まっている方は注意が必要です。
また、噛み合わせが悪い場合、一部の歯だけで歯ぎしりや食いしばりをすることがあるため、噛み合わせを整える必要があるでしょう。
しかし、歯ぎしり・食いしばり癖があっても、意識することで症状を改善できることもあります。たとえば、疲れやストレスを感じているときや眠りが浅いときは歯ぎしり・食いしばりを行いやすいため、ご自身がリラックスできる環境を意識して整えるとよいでしょう。
歯ぎしり・食いしばりが歯並びに与える悪影響
歯ぎしり・食いしばり癖があると、お口の中だけでなく、全身に悪影響がでることがあります。歯ぎしり・食いしばりが歯や歯並びなどに与える主な4つの悪影響は、以下のとおりです。
①歯がすり減る・欠ける
歯と歯をすり合わせたり強く噛みしめたりする歯ぎしり・食いしばりは、歯に大きな負担がかかるため、歯がすり減ったり欠けたりすることが多いといわれています。
ご自身の歯だけでなく、虫歯治療した詰め物や被せ物にも負担がかかるため、詰め物が欠ける・被せ物が取れることもあるでしょう。歯がすり減ったり欠けたりすることで、知覚過敏を起こすこともあります。
また、歯に大きな負担がかかることで、歯に細かな亀裂が入ることもあります。細かな亀裂が入ることで、虫歯になるリスクも高くなるため注意が必要です。
②歯並びが悪くなる
歯ぎしりや食いしばりで大きな負担が歯にかかると、歯並びが悪くなることがあります。
もともときれいだった歯並びでも、歯に強い負担がかかることで前歯が前に押し出され、出っ歯やすきっ歯になったり、歯がすり減ることで過蓋咬合(かがいこうごう)になったりすることがあるため注意が必要です。
③歯茎が下がる
歯ぎしり・食いしばりは、歯への負担だけでなく歯茎にも負担がかかります。
歯茎に負担がかかると、歯茎が下がることや顎の骨が吸収されることで、歯周病がすすむ原因になることがあります。歯ぎしり・食いしばりによって歯周病がすすむと、歯を支えている顎の骨が吸収され、歯がグラグラすることや、歯並びが悪くなることもあるため注意が必要です。
④顎関節に負担がかかる
歯ぎしりや食いしばりによって、顎関節症を引き起こすことがあります。これは、強く噛み合わせることや歯をすり合わせることで、顎関節に大きな負担がかかるからです。
顎関節症になると、顎がだるい、口が開きにくい、口を開くときに「ポキ」「カク」といった異音がするなどの症状がでるだけでなく、頭痛や肩こりなど全身にも影響を及ぼします。特に、強く歯を噛み合わせる食いしばりは、顎への負担がかかりやすいため注意が必要です。
歯ぎしり・食いしばり癖があるとインビザライン治療は難しい?
歯ぎしり・食いしばり癖がインビザライン治療に影響がでるかどうかは、歯ぎしり・食いしばり癖が日常的かどうかで異なります。
たとえば、スポーツや勉強などで集中しているときや力仕事などで力がかかるときなど、一時的な場面でのみ歯ぎしり・食いしばりしている場合はインビザライン治療を受けても問題ありません。
しかし、歯ぎしり・食いしばりが一時的なものではなく癖になっている場合、インビザライン治療が難しいことがあります。なぜなら、歯ぎしり・食いしばりは、ふだん私たちが噛む力の3倍以上もの負担が歯や顎にかかるため、インビザライン治療に影響がでやすいからです。
日常的に歯ぎしり・食いしばりをしている場合、インビザライン治療が難しいことがあるため、ワイヤー矯正を検討するのもよいでしょう。
歯ぎしり・食いしばり癖がインビザライン治療に与える影響
インビザラインは、透明なマウスピースを1日の20~22時間以上装着し、歯並びを整える矯正治療です。
使用するマウスピースは目立ちにくく違和感がでにくいのがメリットですが、歯ぎしり・食いしばり癖があると、マウスピースに負担がかかりやすいため、マウスピースが破損することがあります。マウスピースが破損するとお口の中が傷つくおそれがあるだけでなく、治療が遅れる原因になることもあるでしょう。また、インビザライン治療中も歯ぎしりや食いしばりを続けていると、奥歯が噛み合わなくなることがあるため注意が必要です。
インビザラインで使用するマウスピースは薄い素材ですが、上下合わせると1~1.5mm程度です。歯ぎしりや食いしばりによって常に上下の歯が接触することで、この厚み分、奥歯が歯茎に沈み込み、噛み合わせが悪くなってしまうことがあるのです。
インビザライン治療中に奥歯の沈み込みによって噛み合わせが悪くなっても、マウスピースの装着時間を減らすことで改善が見込めることがあります。
しかし、インビザライン治療をうまくすすめるためには、歯ぎしり・食いしばりの予防や対処を行うことが必要です。
歯ぎしり・食いしばりでインビザラインが破損してしまったら
歯ぎしり・食いしばりが原因でインビザラインのマウスピースが破損してしまった場合、歯科医院で修理可能な場合もあります。
ただし、修理した部分は歯ぎしりや食いしばりで負担がかかっている部分のため、また破損する可能性が高いといえるでしょう。そのため、何度修理しても破損する場合は、マウスピースの作り直しが必要です。
インビザラインのマウスピースを作る場合、型取りしてから1か月程度かかります。作り直しが必要となった場合、追加で費用や期間がかかることを理解しておきましょう。
歯ぎしり・食いしばり癖への対処法
歯ぎしり・食いしばりがあっても、症状が改善すればインビザライン治療を受けられることがあります。
歯ぎしり・食いしばり癖への主な5つの対処法は、以下のとおりです。
①ナイトガードを使用する
歯ぎしり・食いしばりは就寝中に行うことが多いため、ナイトガード(マウスピース)をはめることで上下の歯が接触することをなくし、歯や顎にかかる負担を軽減できます。
ナイトガードは保険適応で作れるため、一度歯科医院で相談するとよいでしょう。
②上下の歯があたっていないか意識する
集中しているときなど日中にも歯ぎしり・食いしばりをしている場合、上下の歯があたっていないか日頃から意識することが大切です。
本来、上下の歯は噛み合わず、わずかにすき間があいているのがよいとされています。
しかし、日頃から歯ぎしり・食いしばりをしている場合、上下の歯が触れ合っていることで、歯を噛みしめることやすり合わせることが多くなるため注意が必要です。
上下の歯があたらないようにするには、舌の位置が正しい位置にあるか意識しましょう。正しい舌の位置は、舌の先が前歯の裏にあることです。この位置に舌があると、自然に上下の歯の間にすき間があき、噛み合うことはありません。舌の位置がこれより低くなる場合や歯にあたっている場合、歯ぎしり・食いしばりを行いやすくなるため注意が必要です。
また、インビザライン治療でマウスピースを1日中はめることにより、マウスピースの違和感から歯ぎしり・食いしばりをしてしまうこともあります。このような場合、マウスピースに慣れることでだんだん治まるため、様子をみるとよいでしょう。
③ストレス発散する
歯ぎしり・食いしばりは、疲れやストレスが溜まると行いやすくなるといわれています。そのため、休みの日は趣味に没頭することや、疲れを癒すことでストレス発散するのが大切です。
また、ストレッチや軽い運動など、週に1~2回は体を動かすのもよいでしょう。
④頭や顎をマッサージする
歯ぎしりや食いしばりをすると、お口の中だけでなく、顎の筋肉や側頭筋などが凝り固まりやすくなります。
顎のあたりから、こめかみ、耳上にある側頭筋をマッサージすることがおすすめです。筋肉のこわばりをほぐし、歯ぎしり・食いしばりを抑制する効果が期待できるでしょう。特に、顎関節に負担がかかり、顎にだるさを感じている方や頭痛や肩こりがある方に向いています。
⑤快眠できる環境を整える
歯ぎしり・食いしばりは、眠りが浅いときに行いやすいといわれているため、寝心地のよい環境を整えることが大切です。
シャワーだけで済まさず、湯船に浸かる、ストレッチする、寝る前にはスマートフォンを触わらない、アロマを焚くなど、心身をくつろがせ、ゆったりした気持ちで寝られるように心がけましょう。
また、顔を下に向けて寝ると顎に負担がかかり、歯ぎしり・食いしばりを行いやすいです。仰向けで寝るのが理想的な姿勢といわれているため、顔を横に向けた状態やうつ伏せの状態で寝ないように気をつけましょう。
さらに、枕があっていないと、顔を横に向けたりうつ伏せの状態になったりしやすいです。枕やマットレスなど、ご自身に合った寝具を選ぶのもよいでしょう。
まとめ
歯ぎしり・食いしばりは、ふだん噛む力の3倍以上の負担が歯や顎にかかるといわれているため、歯が欠けたり顎関節症を引き起こしたりすることがあります。
歯ぎしり・食いしばりが一時的なものなら問題ありませんが、日常的に歯ぎしり・食いしばりを行っている場合、インビザラインの治療ができない可能性があります。インビザライン治療ではやわらかい素材のマウスピースを使用するため、歯ぎしり・食いしばりによって大きな負担がかかると、変形や破損の原因になるのです。
ただし、歯ぎしり・食いしばりを改善すればインビザライン治療が受けられることもあるため、今回ご紹介した5つの対処法をお試しください。
インビザライン治療を検討されている方は、愛知県名古屋市名東区にある歯医者「西山歯科」にお気軽にご相談ください。